公益法人会計基準
「公益法人会計基準について」(平成21年10月16日改正 内閣府公益認定等委員会)についてまとめました。
平成20年12月1日にスタートした新公益法人制度。新制度の開始に伴い公益会計の基準も「16年基準」から「20年基準」へと変更されることとなりました。
今回の会計基準では改正項目はそれほど多くないと言われていますが、内閣府公益認定等委員会が発表した「公益法人会計基準」の運用指針を眺めてみると重要な論点がちりばめられています。
そこで当サイトでは、この新しい公益法人会計についてわかりやすく解説していこうと考えております。
会計担当者の皆様のみならず理事等の役員の皆様にも公益法人会計について理解していただけるような記事を掲載していきます。
【設定経緯】
平成18年に公益法人制度改革関連三法が成立し新制度を踏まえた会計基準を整備する必要が生じたため、内閣府公益認定等委員会において、改めて公益法人会計基準をとおり定めた。
【会計基準体系】
16年基準は会計基準、注解の部分と別表、様式の部分とから構成されるが、制度運用の便宜上、両者を切り離し、会計基準及び注解の部分を本会計基準とし、別表及び様式の部分は運用指針として取り扱うこととした。
【財務諸表の定義】
16年基準は、財務諸表を会計基準上で取扱う書類と定め、貸借対照表、正味財産増減計算書、財産目録及びキャッシュ・フロー計算書を含めていたが、20年基準では財産目録は財務諸表の範囲から除くこととした。
附属明細書は、一般法人法で作成することが定められ、施行規則、整備規則において、附属明細書の記載項目が定められている。16年基準は、附属明細書に関する規定が設けられていないため、20年基準で定めることとした。
【基金】
16年基準には基金に関する規程が設けられていないため、20年基準においてこれを定めることとした。
【会計区分】
16年基準では、特別会計を設けている場合、会計区分ごとに貸借対照表及び正味財産増減計算書を作成し、総括表により法人全体のものを表示していた。
【会計区分】
20年基準では、法人全体の財務諸表及び附属明細書並びに財産目録を基本とし、会計区分ごとの情報は、財務諸表の一部として貸借対照表内訳表及び正味財産増減計算書内訳表において、それぞれに準じた様式で表示する。
【性格】
20年基準は、公益法人会計に関する一般的、標準的な基準を示したものであり、公益法人会計の理論及び実務の進展に即して、今後、更に改善を図っていこうとするものである。
【目的及び適用範囲】
この会計基準は、公益法人の財務諸表及び附属明細書並びに財産目録の作成の基準を定め、公益法人の健全なる運営に資することを目的とする。
【一般原則】
①財務諸表は、資産、負債及び正味財産の状態並びに正味財産増減の状況に関する真実な内容を明りょうに表示するものでなければならない。
②財務諸表は、正規の簿記の原則に従って正しく記帳された会計帳簿に基づいて作成しなければならない。
③会計処理の原則及び手続並びに財務諸表の表示方法は、毎事業年度これを継続して適用し、みだりに変更してはならない。
④重要性の乏しいものについては、会計処理の原則及び手続並びに財務諸表の表示方法の適用に際して、本来の厳密な方法によらず、他の簡便な方法によることができる。
【重要性の原則】
①消耗品、貯蔵品等のうち、重要性が乏しいものは、その買入時又は払出時に正味財産の減少原因として処理する方法を採用することができる。
②取得価額と債券金額との差額について重要性が乏しい満期保有目的の債券は、償却原価法を適用しないことができる。
③寄付による受入れ金額、寄付者等からの制約期間、寄付者等からの制約に重要性が乏しい場合には、寄付によって増加した正味財産を指定正味財産ではなく、一般正味財産の増加額として処理できる。
④ファイナンス・リース取引について、取得したリース物件の価額に重要性が乏しい場合、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができる。
⑤法人税法上の収益事業に係る課税所得の額に重要性が乏しい場合、税効果会計を適用しないで、繰延税金資産又は繰延税金負債を計上しないことができる。
⑥財産目録の作成及び表示にあたっても重要性の原則が適用される。
【基本財産、特定資産】
公益法人が基本財産又は特定資産を有する場合には、固定資産を基本財産、特定資産及びその他固定資産に区分する。
【事業年度】
公益法人の事業年度は、定款で定められた期間によるものとする。
【会計区分】
公益法人は、法令の要請等により、必要と認めた場合には会計区分を設けなければならない。
【一般正味財産】
基金の返還により代替基金が計上されている場合には、一般正味財産を代替基金及びその他一般正味財産に区分する。
【資産の貸借対照表価額】
①原則として、当該資産の取得価額を基礎として計上しなければならない。交換、受贈等によって取得した資産の取得価額は、その取得時における公正な評価額とする。
【相殺消去】
会計区分間の内部取引高は、正味財産増減計算書内訳表で相殺消去する。また、会計区分間の内部貸借取引の残高は、貸借対照表内訳表で相殺消去する。
【貸借対照表の内容】
貸借対照表は、当該事業年度末現在におけるすべての資産、負債及び正味財産の状態を明りょうに表示するものでなければならない。
【貸借対照表の区分】
①貸借対照表は、資産の部、負債の部及び正味財産の部に分け、資産の部を流動資産及び固定資産に、負債の部を流動負債及び固定負債に、正味財産の部を指定正味財産及び一般正味財産に区分しなければならない。
②正味財産の部には、指定正味財産及び一般正味財産のそれぞれについて、基本財産への充当額及び特定資産への充当額を内書きとして記載する。
【総額主義】
①貸借対照表の資産、負債及び正味財産は、総額をもって記載することを原則とし、資産の項目と負債又は正味財産の項目とを相殺することによって、その全部又は一部を貸借対照表から除去してはならない。
②総額主義の原則は、正味財産増減計算書においても適用する。
【基本財産、特定資産】
①寄付によって受け入れた資産で、その額が指定正味財産に計上されるものについては、基本財産又は特定資産の区分に記載する。
②特定の目的のために預金、有価証券等を有する場合には、当該資産の保有目的を示す独立の科目をもって、貸借対照表上、特定資産の区分に記載する。
③公益法人が基本財産又は特定資産を有する場合には、固定資産を基本財産、特定資産及びその他固定資産に区分する。
【基金】
基金を設定した場合には、貸借対照表の正味財産の部を基金、指定正味財産及び一般正味財産に区分し、当該基金の額を記載しなければならない。
【指定正味財産】
寄付によって受け入れた資産で、寄付者等の意思により当該資産の使途について制約が課されている場合には、当該受け入れた資産の額を、貸借対照表上、指定正味財産の区分に記載する。
【指定正味財産】
当期中に当該寄付によって受け入れた資産の額は、正味財産増減計算書における指定正味財産増減の部に記載する。
【一般正味財産】
基金の返還により代替基金が計上されている場合には、一般正味財産を代替基金及びその他一般正味財産に区分する。
【資産の貸借対照表価額】
①原則として、当該資産の取得価額を基礎として計上しなければならない。交換、受贈等によって取得した資産の取得価額は、その取得時における公正な評価額とする。
②受取手形、未収金、貸付金等の債権は、取得価額から貸倒引当金を控除した額を貸借対照表価額とする。
③満期保有目的の債券並びに子会社株式及び関連会社株式は、取得価額を貸借対照表価額とする。
③満期保有目的の債券並びに子会社株式及び関連会社株式以外の有価証券のうち市場価格のあるものは、時価を貸借対照表価額とする。
④棚卸資産は、取得価額を貸借対照表価額とする。ただし、時価が取得価額よりも下落した場合には、時価を貸借対照表価額とする。
⑤有形固定資産及び無形固定資産は、取得価額から減価償却累計額を控除した価額を貸借対照表価額とする。
⑥資産の時価が著しく下落したときは、回復の見込みがあると認められる場合を除き、時価を貸借対照表価額としなければならない。
⑥有形固定資産及び無形固定資産について使用価値が時価を超える場合、取得価額から減価償却累計額を控除した価額を超えない限りにおいて使用価値を貸借対照表価額とできる。
⑦時価と比較する使用価値の見積りに当たっては、資産又は資産グループを単位として行うことができる。
【外貨建の資産及び負債の決算時における換算】
①外国通貨、外貨建金銭債権債務(外貨預金を含む。)及び外貨建有価証券等については、子会社株式及び関連会社株式を除き、決算時の為替相場による円換算額を付すものとする。
②決算時における換算によって生じた換算差額は、原則として、当期の為替差損益として処理する。
【満期保有目的債券】
債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合に、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額を貸借対照表価額としなければならない。
【満期保有目的の債券並びに子会社株式及び関連会社株式以外の有価証券】
市場価格のあるものは、時価評価に伴って生じる評価差額は、当期の正味財産増減額として処理する。
【指定正味財産に区分される寄付によって受け入れた有価証券】
時価又は償却原価で評価する場合には、従前の帳簿価額との差額は、正味財産増減計算書上、指定正味財産増減の部に記載する。
【内容】
正味財産増減計算書は、当該事業年度における正味財産のすべての増減内容を明りょうに表示するものでなければならない。
【区分】
正味財産増減計算書は、一般正味財産増減の部及び指定正味財産増減の部に分かち、更に一般正味財産増減の部を経常増減の部及び経常外増減の部に区分する。
【構成】
一般正味財産増減の部は、経常収益及び経常費用を記載して当期経常増減額を表示し、経常外増減に属する項目を加減して当期一般正味財産増減額を表示し、一般正味財産期首残高を加算して一般正味財産期末残高を表示しなければならない。
【構成】
指定正味財産増減の部は、指定正味財産増減額を発生原因別に表示し、指定正味財産期首残高を加算して指定正味財産期末残高を表示しなければならない。
【基金増減の部】
基金を設定した場合には、正味財産増減計算書は、一般正味財産増減の部、指定正味財産増減の部及び基金増減の部に分ける。
基金増減の部は、基金増減額を発生原因別に表示し、これに基金期首残高を加算して基金期末残高を表示しなければならない。
【補助金等】
法人が国、地方公共団体等から補助金等を受け入れた場合、原則として、その受入額を受取補助金等として指定正味財産増減の部に記載し、補助金等の目的たる支出が行われるのに応じて当該金額を指定正味財産から一般正味財産に振り替える。
【補助金等】
事業年度末までに目的たる支出を行うことが予定されている補助金等を受け入れた場合には、その受入額を受取補助金等として一般正味財産増減の部に記載することができる。
【補助金等】
①補助金等が国、地方公共団体等の補助金等交付業務を実質的に代行する目的で一時的に支払われた場合等、補助金等を第三者へ交付する義務を負担する場合には、預り補助金等として処理し、事業年度末における残高を負債の部に記載する。
②一般正味財産増減の部における経常外増減に属する項目には、臨時的項目及び過年度修正項目がある。なお、経常外増減に属する項目であっても、金額の僅少なもの又は毎期経常的に発生するものは、経常増減の区分に記載することができる。
③指定正味財産に区分される寄付によって受け入れた資産で、制約が解除された場合には、当該資産の帳簿価額を指定正味財産の部から一般正味財産の部に振替え、正味財産増減計算書の指定正味財産増減の部及び一般正味財産増減の部に記載しなければならない。
④指定正味財産に区分される寄付によって受け入れた資産で、減価償却を行った場合は、減価償却費の額を指定正味財産の部から一般正味財産の部に振替え、正味財産増減計算書の指定正味財産増減の部及び一般正味財産増減の部に記載しなければならない。
⑤指定正味財産に区分される寄付によって受け入れた資産が災害等により消滅した場合、その帳簿価額を指定正味財産の部から一般正味財産の部に振替え、正味財産増減計算書の指定正味財産増減の部及び一般正味財産増減の部に記載しなければならない。
⑥一般正味財産増減の部において、指定正味財産からの振替額は、その性格に従って、経常収益又は経常外収益として記載する。
【内容】
キャッシュ・フロー計算書は、当該事業年度におけるすべてのキャッシュ・フローの状況を明りょうに表示するものでなければならない。
【区分】
キャッシュ・フロー計算書は、当該事業年度におけるキャッシュ・フローの状況について、事業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローに区分して記載する
【資金の範囲】
キャッシュ・フロー計算書には、当該事業年度における現金及び現金同等物に係る収入及び支出を記載しなければならない。
【財務諸表には、次の事項を注記しなければならない。】
①継続事業の前提に関する注記
②資産の評価基準及び評価方法、固定資産の減価償却方法、引当金の計上基準等財務諸表の作成に関する重要な会計方針
③重要な会計方針を変更したときは、その旨、変更の理由及び当該変更による影響額
④基本財産及び特定資産の増減額及びその残高財務諸表には、次の事項を注記しなければならない。
⑤基本財産及び特定資産の財源等の内訳
⑥担保に供している資産
⑦固定資産について減価償却累計額を直接控除した残額のみを記載した場合には、当該資産の取得価額、減価償却累計額及び当期末残高
⑧債権について貸倒引当金を直接控除した残額のみを記載した場合には、当該債権の債権金額、貸倒引当金の当期末残高及び当該債権の当期末残高
⑨保証債務(債務の保証を主たる目的事業とする公益法人の場合を除く。)等の偶発債務
⑩満期保有目的の債券の内訳並びに帳簿価額、時価及び評価損益
⑪補助金等の内訳並びに交付者、当期の増減額及び残高
⑫基金及び代替基金の増減額及びその残高
⑬指定正味財産から一般正味財産への振替額の内訳
⑭関連当事者との取引の内容
⑮キャッシュ・フロー計算書における資金の範囲及び重要な非資金取引
⑯重要な後発事象
⑰その他公益法人の資産、負債及び正味財産の状態並びに正味財産増減の状況を明らかにするために必要な事項
【関連当事者とは、次に掲げる者をいう】
①当該公益法人を支配する法人
②当該公益法人によって支配される法人
③当該公益法人と同一の支配法人をもつ法人
④当該公益法人の役員又は評議員及びそれらの近親者
【関連当事者との取引については、次の事項を原則として関連当事者ごとに注記しなければならない】
①法人の場合には、その名称、所在地、直近の事業年度末における資産総額及び事業の内容。なお、会社の場合には、議決権に対する当該公益法人の所有割合
②当該関連当事者が個人の場合には、その氏名及び職業
③当該公益法人と関連当事者との関係
④取引の内容
⑤取引の種類別の取引金額
⑥取引条件及び取引条件の決定方針⑦取引により発生した債権債務に係る主な科目別の期末残高
⑧取引条件の変更があった場合には、その旨、変更の内容及び当該変更が財務諸表に与えている影響の内容
関連当事者との間の取引のうち、一般競争入札による取引並びに預金利息及び配当金の受取りその他取引の性格からみて取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引については、関連当事者ごとに注記を要しない。
関連当事者との間の取引のうち、役員又は評議員に対する報酬、賞与及び退職慰労金の支払いは関連当事者ごとに注記を要しない。







